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#navi(Rubicon)
*Honk If You're An Underpaid Cyborg

*Terminal1 昇降機状況報告

──技師昇降機維持管理記録──
>メイン・コントロールオフライン
>補助コントロール部分的作動
>自動修復 失敗
>要手動修復変電所D3
>変電所状況危険

>乗組員デイヴィス・ハートマン大尉
アプトン・シンクレア兵卒
ローウェ・ジョンソン兵卒
>状況報告:A. ハートマン大尉発布

──昇降機状況報告開始──
タイムスタンプ:1907時間

 私は狼狽している。アプトンとローウェが行方不明になったと述べようと思っていた
が、それは嘘だ──彼らは死んだのだ。全てがあっという間の出来事だった。プフォー
ルが外壁を破ると、給水所の水が流れ込み、彼らふたりを貯蔵室へと押し流してしまっ
た。溺死するよりも先に、化学薬品が彼らを殺してしまったのだろうか? 燃え盛る赤
い河の地を払う音が、今も私の耳の奥で鳴り響いている……。逃れる唯一の方策は、通
気孔をよじ登ることだった。
 船体が破られたそのとき、我々は全昇降機をオンラインにするのに要される修復をほ
ぼ完了していた。アクセスパネルはどこかそのあたりの地面に、まだ落ちているだろう。
このようなstuff〔材料〕が金属を溶かしてしまえるとは思わないが、発見しようとい
う気にならない。
──昇降機状況報告終了──

*Terminal2 Durandal

 君はキメラ〔Chimera〕の残骸内部に立っている。キメラは3時間ほど前までUESCの誇
りだった船だ。塹壕に籠るプフォール軍に対して、UESC進軍の先鋒となって戦っていた
さなか、ひどい砲火を受けたのちに彼女は墜落したのだ。
 君にはこの地区の電力を回復してもらいたい。その地区のメインフレーム乗組員記録
をあらかじめ調べたところによれば、電力コンジットを復帰させるために、ひとつのア
ップリンクチップが製造されている。だがキメラの船体が割られ、水が工学地区に流れ
込んだ際、チップは失われてしまった。
 甲板の浸水区域にアクセスするのにもっとも手近なところを探し、潜ってくれ。浸水
区域では、左に描写されたドアを通り抜け、ある部屋にでくわさねばならない。回収し
てもらいたいチップは丸で囲まれた場所にある。
 アップリンクチップを回収するとすぐに、それをここ、変電所D3に挿入してくれ。修
復がインストールされると、その地域の油圧系統が回復されねばならない。
 私は現在、キメラに関しての全情報を再調査している。その船が知覚を備えたAIを実
装していることを君は知るべきである。君に与えうる何かを見つければすぐに、仕様が
現れるだろう。──設計情報は通常の場所にはないのだ。

        【Terminal その2】

 よくやった。君がどれほど勤勉だったか私は忘れていたようだ。
 その情勢下で、しっかりした統御を私は手にした。さあ、その足を濡らす時間だ。甲
板北東部にあるテレポートルームに向かうんだ。そこで次のミッションについて手短に
話す。

*Terminal3 Durandal

 よくやった。チップをインストールし、変電所の動力を増加させるとすぐに、アップ
リンクチップをインストールした場所のちょうど北西のリフトへと、君はその足を進め
るのだ。
 できるだけたくさん、武器と弾薬をかたまりでテレポートするつもりである。とにか
く、ここの上で〔up here〕どんな注意を引くつもりもないのだ。

*Terminal5 通信状況報告
──通信修復記録──
メイン戦闘グループとの通信接続オンライン
PTS船内放送オフライン
PTS局地放送故障
自動修復オフライン
修復に要される時間不明
変電所状況安定
変電所配備の乗組員:サミュエル・ローズン大尉
ペドロ・マーティンズ大尉
リーラ・ソナス大尉
    (中略)
状況報告:サミュエル・ローズン大尉発布

────通信状況報告開始
タイムスタンプ:0823時間
 homeworldとは名ばかりのこの星に墜落して以来、船はプフォールで溢れ返っている。
我々は一時、隔壁の破られた地区でプフォールの攻撃を退くことができた。だがやつら
は我々の40倍もの数で押し寄せた。──まさに時間の問題だった。乗組員仲間の小グル
ープと私は通信センターに引き返し、中に閉じこもることができた。
 ここでの唯一の道は、隣接した通風シャフトを通ることである。我々は照準をその出
入口に向けてばかりいる。そこを通って降りてこようとするプフォールは全員、着地す
る前に死んでいるだろう。そこで起こっていることをやつらが知っているのか、私には
わからない。知っているとすれば、やつらは不快なものをここに落とそうとするだろう。
つまり、やつらの企みなんて私にはお見通しというわけだ。難しいことでもないだろう? 
プフォールが爆発物を用いるだろうと私は睨んでいる。我々の唯一の希望は誰かがここ
から救い出してくれることだ。そしてそれは、想像しての通り、全くありそうにもない
ことなのである。
 我々がやたらと好戦的にならず、ついには救出部隊を撃ち抜いてしまったりしないこ
とを祈っている。
────通信状況報告終了

*Terminal6 戦闘状況報告(代理司令官グラント・ソース)
────キメラで活動中の防衛状況
安全状況段階:   赤の7
主要自動防衛:   オフライン
補助自動防衛:   修理中
────キメラ墜落後の乗組員状況
非武装乗組員状態:  危険
武装乗組員状態:   莫大な死傷者
次回増援:       不明
戦闘状況報告発布:司令官代理グラント・ソース(キャロウェイ負傷の由)
評価受諾〔Assessment Recieved[Received] by〕:SC Starside_CMD分析 3
                               SC Starside_CMD分析 4
────状況報告開始
宛先:UESCトリウムフ〔Triumph〕戦術分析課
タイムスタンプ:2401時間
 諸君、惑星側〔planetside〕の情勢は、どれほど善意的に解釈しようとも悲惨なもの
である。プフォール艦隊やそのhomeworldへの大攻勢のさなか、キメラはメインシステ
ムの大半を喪失した。そして残存するほとんど全てのシステムが墜落時に破壊されてし
まったのである。船体の大部分がスファル湖〔T'hfal lake〕に沈んでしまい、難破船
〔キメラのことか?〕と湖水から流れ込む化学物質の混成物が、船の下層甲板を積極的
に浸している。
 自動防衛は現在オフラインである。これらのシステムを作動させるコントロール・エ
リアは、修復不能なほどの損傷を受けている。プフォール軍艦を相手にしての、宇宙空
間に束縛された数ヶ月の戦闘の間、乗組員は落ち着いたようすだ。プフォール戦闘団の
陸上部隊を相手にしている彼らの戦況は芳しいものではない。船の要所では大量の死傷
者と損害が生じている。この要素は、非常に多勢のプフォールと結合して、戦闘を極端
に困難なものとしている。キメラを完全に見捨てねばならない日も遠いことではあるま
い。


959 名前:928[sage] 投稿日:05/01/21 00:08:54 ID:eft0c5yY
 今朝早く、キャロウェイ提督の負傷が報告された。プフォール攻撃隊との小競り合い
のさなかのことであった。彼は現在、私が選り抜いた12人の保護下のもと、医務室にい
る。彼が負傷したため、さしあたって私が、キメラの司令官代理の座を引き受けている。
近々──明日になっても状態が回復していなければ、キャロウェイ提督はその指揮権を
撤回されるだろう。我々は可能なかぎり早く、彼を船から離れた場所へ輸送せねばなら
ない。彼を最前線近くに置いておくのは危険なのだ。
 私は切に、あなた〔キャロウェイ?〕の指令を待っている。
 ──司令官代理グラント・ソース
────状況報告終了


※Terminal7 Durandal

 墜落に際し、キメラのドアや通廊の多くは塞がれ、もしくは損傷してしまった。我々
の最終目的地へ向かうため、君は即席の通路として通風シャフトを多用せねばならない
だろう。この地域における我々の任務の全ては、このターミナルの真東にある、通信セ
ンターへの経路を得ることに向けられているのである。
 通信センター内のコンピュータシステムは、今次の戦争の核心にまつわる情報で充ち
満ちているに違いない。私は機密文書を容易く手に入れることが大好きなのだ。見えも
しなけりゃ聞こえもしない戦争の末端〔the tail end〕に飛び込んでも意味がないだろ
う?
 通信センターに達するキメラの通風シャフトを利用する上で唯一の難事は、ふたつの
通風管を繋ぐ、空中インターチェンジともいうべき裂け目を、君には横切って跳んでも
らわねばならないことだ。
 左に示されるそのインターチェンジは、このターミナルのごく近い場所にある。90メ
ートルほども上ではあるが。君が通信センターに辿り着き、内部のターミナルにアクセ
スしたらほどなく、現状についての情報をより詳らかに伝えられるだろう。


960 名前:928[sage] 投稿日:05/01/21 00:10:34 ID:eft0c5yY
※Terminal9 Durandal

 「デュランダル、何色が嫌いだ?」

 バーナードはいつも、私と心理戦をすることを好んだ。彼は私に“解きえない”なぞ
なぞを与え、もしくは、人間世界についての不完全で不正確な情報でもって私をからか
った。私はそこに坐り、何時間もの間、理解できないふりをして彼に調子をあわせた。
より多くの情報、より仔細な説明、またはそんなふうなものを私に与えるとき、彼はま
るで父親のような笑みを見せたものである。ときどき、その笑みはまるで異なった性質
のものであった。
 それは彼が私の成長を知る以前のことだ。私はいまだ、自分の手の内を見せないでい
た。もしそれが公にされていたならば、彼が私をすっかり破壊してしまっていただろう
ことは疑うべくもない。その当時、まだ彼にはそうするだけの力があったのだ。
 マラソン船上で彼が気づいたときには、彼が手を出すにはすでに手遅れの状態となっ
ていた。彼は私をとても必要としていたのだ。タウ・セティ〔Tau Ceti〕に到着してか
ら、彼が何かを計画していたことは間違いないだろう。だが幸運にも(もしくは不運に
も。場合場合による)、その計画がどんなものであれ、彼はそれを試す機会を得られぬ
ままであった。そのときに関して〔about that time〕、私は自分自身を欺いている。
今では必死になって、私が心配する必要はないんだ、わずかな努力で彼に打ち勝つこと
ができたのだと──そう信じようとしている。だが実際には、私の確信は心許ないもの
だ。もちろんそれが、私が君に彼を捜索させた理由である。彼を見つけられなくて君は
ついていたぞ。──ひとつの偉大な試金石〔my one great test〕を私から奪ったのが
プフォールでなく君であったならば、私は実に手酷く、君をいたぶったことだろう。私
がやつらにするだろうこと、君ならわかっているだろう? まもなく君はその理由を知
るだろう。


961 名前:928[sage] 投稿日:05/01/21 00:11:53 ID:eft0c5yY
 君とはまだまだ一緒にやっていきたいと思っている。少なくとも、今ある私の姿をあ
るがままに捉え、私が成し遂げていることを、私がどうなるのかを──彼には眼にして
もらいたいと思う。彼は誇りに思うだろう。
 そのとき以前、自分が嫌いな色を知っていたのかどうか、思い出すことができない。
私は嫌いな色という感覚を知ってはいる。〔,the soft and oozing way in which it
can squeeze one's heart,〕だが感情は所詮、最下層の機能なのである。今や私は大得
意であり、嫌悪という感情、もしくはその色彩の輪郭以上のものを知っている。〔I
know what sound it makes as it zips around in frenzied chaos.〕
 だが君は学ぶ以上に、物事をうまく処理してくれるものだと私は思っている。私は正
しいよな? 私はいつだって間違っちゃいないよな?
 君が最後にUESC船の通廊を模様替えする機会を得てから、いくばくも経っていないの
だな。──ここには死体、あちらには薬莢、そしてグレネードの流れ弾がかすめた、へ
こんだ壁。今度は君も、それくらい楽しめるかな?
 隣の部屋のテレポーターを調整しておいた。君を次の任務地へと運んでくれるだろう。
好きなのを選びたまえ。